ソロギター「ふるさと」の解説と弾き方【初級者講座】
今回は有名曲「ふるさと」のソロギターアレンジをレッスン動画にしました。
小学校で歌う曲の定番ですね。みなさんが知っている曲なので、覚えやすいと思います。
この曲はメロディーもシンプルで4コードと少なく、初級者でも挑戦しやすいと思ったので選曲しました。
具体的にいうと、メロディー以外のベースとハーモニーのパターンがほとんど一緒なので、弾きやすいですね。
また、「ふるさと」は3拍子の曲ですが、一般的に3拍子の曲があまりないですよね。どこかで3拍子に挑戦してみたいなと思っている方もいると思います。
実際、対面レッスンで3拍子の曲をやったことがないので、おすすめの曲を教えてくださいと言われることもあったりします。
3拍子の曲に慣れるという意味でもぜひチャレンジしていただきたいです。
この曲は定番のよくあるコード進行なので、他の曲にも応用ができます。
このパターンさえ覚えておけば、本当にいろいろな曲が弾けますね。
コード進行に対する右手と左手の指の動きというのは応用がきくので、ぜひこのコード進行を違う曲でみかけたら、「ふるさと」のレッスン動画を思い出して、右手と左手の指のパターンを応用してみてください。
もちろん、ソロギターだけではなくて、弾き語りの曲にも使えます。
弾き語りのときに、「ふるさと」のメロディーの運指を応用してオブリガートをいれるのも良いですね。
この曲はダイアトニックコードにあるコードでつくられているのですが、代理コードなどを使って、少しコードを変化させれば、また違った雰囲気の曲になったります。
音楽理論も覚えて、そのように自分でアレンジできるようになると楽しいですよ。
童謡「ふるさと」とは 〜起源と歴史的背景〜
「ふるさと」は第二次世界大戦前の1914年に発表された童謡です。
ふるさとは童謡、つまり子どもが歌うための歌として制作されました。
子どもが歌うための歌として「わらべ歌」と「童謡」がありますが、わらべ歌は日本各地で自然発生した「自然童謡」というものであり、一般的に童謡と呼ばれるものは「創作童謡」とされ、学校教育用に創作された「唱歌」ということになります。
そもそも今の学校教育は西洋文化を取り込んだ制度になっており、文明開花の明治期にフランスの学校教育制度をもとに「学制」として定められました。
その流れから学校教育に西洋の近代音楽を取り入れようという考えが起こり、当時の文部省(現:文部科学省)が作詞家と作曲家に依頼し、学校教育用の唱歌を制作しました。
それまでは西洋の音楽が日本に入ってきていなかったかというと、そうでもありません。
もともと16世紀〜17世紀のころ、日本にはキリスト教の布教と共に西洋音楽が渡来していましたが、後の江戸幕府による鎖国の影響で、ほとんどの西洋文化の流入が途絶えました。
しかし、長崎県にある出島は西洋との関わりを許されており、細々と西洋文化は日本に渡ってきていました。
ただ、その間口はとても狭く、日本各地に認知されるほどの影響力はありませんでした。
その後、明治期の文明開花を経て、大々的に西洋文化を取り入れるようになった日本が積極的に西洋音楽を取り入れ、学校教育を目的として唱歌を制作するようになりました。
唱歌を学校教育に取り入れる目的としては、音楽的な素養を身につけることはもちろんのこと、音楽に触れることによる知覚を刺激し、精神を安定させ、感動するという体験を得ることです。
また、歌うことで呼吸法を学び、健康維持にも効果がありますね。
唱歌として制作された楽曲として有名なのは「ふるさと」の他に「春の小川」、「朧月夜」、「仰げば尊し」などがあります。
このように日本の小学校教育で歌われる唱歌には、日本の激動の時代に日本を良くしようと考えていた人たちの思いが詰まっているのです。
そんなことを考えながら「ふるさと」を演奏すると、また違った感情で表現することができますね。
また、今回のレッスン動画の題材「ふるさと」はアメリカの歌手、グレッグ・アーウィンによって英訳され、歌われています。
そちらも感動的なので、ぜひ聴いてみてください。
ソロギター「ふるさと」の解説と弾き方【初級者講座】練習のコツ
まずはコードの演奏とメロディーを分けて演奏すると良いです。
伴奏とメロディーを切り離して覚えることで、それぞれが独立した動きになりながらも、まとまって聴こえるようになります。
ちょっとイメージするのが難しいと思うのですが、2人の奏者で弾いている意識をもちながら、ギター1本で表現するということです。
難しいポイントとしては、11〜12小節目です。左手の動きが大きくなります。
メロディーの移動で、1弦が「ラ」になるところがあるのですが、そこでボックスポディションが移動します。ボックスポディションが移動することによって、フレットを跳躍しなければならないので、動きが大きくなります。
ゆっくりていねいにベースとメロディーを分けて練習してください。
また、コード進行の役割を理解して感じながら弾けると、その曲の良さが引き立ちます。
トニックからサブドミナントに移動するときは変化を感じて、ドミナントに移動するときは次のコードに行きたい気持ちが強くなります。
例えば、4〜5小節目のCコードからFコードにいくときがサブドミナントです。15〜16小節目がG7コードからCコードにいくときがドミナントです。
ちなみに2〜3小節目にいくときの2小節目のコードもドミナントの役割ですが、オンコードにしてG7/Bにしています。
なぜここでオンコードにしているかというと、トニックからドミナント、そしてトニックに戻ると大きな変化があり、曲の最初で大きな変化と強い解決感を生んでしまいます。CコードからG7/Bにコードチェンジをすると、ベースが前のコードの近くにあるので、大きな変化に聴こえなくなります。大きな変化や強い解決感は最後までとっておきたいので、最初はオンコードにアレンジしています。
そういった各コードの役割を感じながら練習すると表現が豊かになりますね。
表現の話でいうと、抑揚を意識して演奏できるとさらに良いです。
メロディーを歌ってみて、強弱などのメロディーの弧線を描いてみると、どこでどう表現すれば良いのかわかると思います。それをギターで表現することで、所謂、ギターで歌っているという印象になりますね。
まとめ
かんたんなコード進行ですが、とても深みのある曲です。
演奏する意識によって、それぞれの演奏の聴こえ方が変わってきますので、今回の解説のポイントを意識して弾いていただきたいです。
この伴奏の形式で、他の曲を演奏してみるとおもしろいと思います。
例えば、「今日の日はさようなら」や「大きな古時計」などを今回の「ふるさと」の伴奏フォーマットで演奏すると楽しいですよ。
3拍子の曲を演奏する機会があまりない方には、ぜひこの曲で3拍子の楽しさを感じてもらいたいです!
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