弾き語り「クラスメイト(Mr.Children)」の解説と弾き方【初〜中級者講座】

弾き語り「クラスメイト(Mr.Children)」の解説と弾き方【初〜中級者講座】

今回は、Mr.Children「クラスメイト」をレッスン動画として公開しました!
マニアックな曲ですが、個人的に好きな曲なので取り上げてみました。レッスン動画の解説だけでなく、楽曲紹介やお気に入りポイント、コード分析なども紹介していきますので、ぜひご覧ください!

「クラスメイト(Mr .Children)」について

Mr.Childrenは1989年に結成し、1992年にメジャーデビューした4人組のロックバンドです。
若い人には馴染みが無いかもしれませんが、30〜40代の人にとっては、青春時代の思い出の楽曲がたくさんあるのではないでしょうか。僕はアルバムの『HOME』を聴いてファンになりました。

曲調は幅広く、ただのロックバンドに納まらない、R&BやFunk、Bluesなどのテイストを盛り込んだ多彩な楽曲が特徴。
多くの人に門戸が開かれていて、音楽全体を楽しむ、音楽を通して、さまざまな人にメッセージを送りたいという意志を感じられますよね。
先日は「Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス」のライブに行ってきました。昔の曲から最近の曲までたくさん聴けたので楽しかったです。好きなバンドの生演奏を聴くというのは良いですね。

今回の「クラスメイト」という曲は、アルバム『Atomic Heart』に収録されている楽曲です。
僕は高校生の時にこの曲を聴いて、「大人って制限のない自由な世界に生きているけど、こういったアンニュイをかかえているんだなぁ」と思いました。

ここでポイントなのが、僕自身、この歌の主人公を「大人」と認識したことです。
歌詞に年齢は登場しません。「仕事」という言葉が出てきますが、高校生や大学生のアルバイトかもしれません。「仕事」を広義に捉えれば小学4年生が主人公だと想像しても、問題無いように思えます。時制の表現としてはサビで「3ヶ月前の再会から」と歌っているだけです。

歌詞だけでは汲み取れないニュアンスを表現するのが「音楽」です。ここからは、音楽の観点から詳しく楽曲解説していきます。
「クラスメイト」は、四和音のコードを多用しています。この四和音のコードがまさに「大人感」を演出する要素なのです。
今手元にギターがある方はコード表を検索して、C(三和音)とCM7(四和音)を弾き比べてみてください

どうですか?

C(三和音)はストレートな表現、CM7(四和音)はストレートさが緩和されて曖昧なニュアンスになっているのが感じ取れましたか?
人によって捉え方は違うので、「何か雰囲気が違う」ということを感じていただければ大丈夫です。
四和音の曖昧なニュアンスが、年齢を重ねた大人の気怠さ=「アンニュイ」を演出していると、僕は感じたのです。

もうひとつのポイントは、「僕はそう感じた」ということです。
もしあなたがそう感じなくても、正解です。また、僕と同じように感じても正解です。この曲を聴いた時点での経験や、コードに対する捉え方(聴感)は人それぞれです。
音楽の捉え方は「自由」なのです。

「クラスメイト」のレッスン動画は、「自由」というアイテムを使い、アコギ1本でふんわりと楽曲のアウトラインをとるようなアレンジをしています。
この曲はバンドで演奏されている曲なので、そのまま表現しようとするとかなり難しいですよね。

「ふと思い立った時に、なんとなく弾き語りアレンジをする技術」を身につけるという前提で、今回のレッスン動画を作ってます。
例えば、イントロは完全にメロディーをコピーせず、弾きやすいところだけをピックアップして、その他はよく使う「定番オブリガート」で隙間を埋めています。
僕はラフに弾き語りするのが好きなので、弾くたびにアレンジが違います。

「クラスメイト(Mr .Children)」のコード解説・分析

Key=F。
「クラスメイト」は四和音のコードをたくさん使ってますので、アーバンでおしゃれな印象の曲になっています。四和音をたくさん使用していると、おしゃれという印象をもたれやすいです。
僕は四和音の持つおしゃれな雰囲気が好きなので、曲のアレンジでは四和音を活用しています。一方で、四和音は中間的な音なので、力強さや楽曲の推進力を得たい場合は三和音のコードを使います

曲中、役割の違うオンコードが2つ出てきます
ひとつ目の役割は、リズム的な躍動感を得たい時に使うオンコードです。
例えば、Dm7/GというコードやDm7/Cというコードはルート音を移動させて、曲にリズム的な動きを加えています。こうすることで漠然とコード弾くだけではなく、ルート音を移動させて次のコードにリズミカルに繋いでいくという変化を与えることができます。

2つ目の役割は、C/B♭というコードが作り出す和音の広がりです。
和音の広がりを出すことで、メロディーの流れに新しい世界観を加えることができます
使い方としてはBbM7からC/B♭に繋いでいきます。ルート音を変化させずに上の和音を変化させることで、コードの世界観が広がった印象を受けますよね。
別の捉え方としては、B♭M7(9)ということになります。B♭から二つ上のCが足されたので2度上、2(2度上)+7(スケールの総数)=9となり、テンションの9thが加わり、B♭M7(9)になるという解釈です。

また、モーダルインターチェンジの代表的な使用例、E♭M7も出てきます。
モーダルインターチェンジとは、違うKeyから和音を借りてくることです。借用和音とも呼びます。

「クラスメイト」は、Key=Fなので、Fメジャーダイアトニックコードを基本に作られています。ダイアトニックコードは楽曲制作をする時に欠かせない理論です。もちろん知識がなくても作曲はできますが、覚えておけば自分の思うように楽曲をコントロールできます。

Fメジャーダイアトニックコードは、FM7|Gm7|Am7|B♭M7|
しかし、E♭M7はFメジャーダイアトニックコードには出てきません。E♭M7は同主調のFmダイアトニックコードからコードを借りてきているのです。
Fmダイアトニックコードをみてみると、E♭に該当するところはE♭7となっていますが、E♭7で弾いてしまうと強い印象を受けます「柔らかい雰囲気にしたいからE♭M7にした」という思惑があるんじゃないかなと、僕は感じました。

他の解釈としては、E♭M7の前のコードはDm7であり、強進行で進むとGm7になります。これだと「おしゃれ感が薄いなぁ」となります。
それなら、どうするか。僕だったらGm7と親和性の高いE♭M7を代理コードとして使うという選択肢を選びます。
どうして親和性が高いかというと、E♭メジャーダイアトニックコードを見ていただくとわかるのですが、E♭M7とGm7はトニック類、すなわち代理コードになっているからなのです。

転調後のコード進行は、トサキ流のアレンジが入ってます。
GM7とEm7のコードで特殊な響きを出しています。この2つのコードが出てきたら、このアレンジコードに変えてみるというのをよくやっています。コードの隙間を埋めて、雰囲気を作れるので気に入っています。

「弾き語り「クラスメイト(Mr .Children)」の解説と弾き方【初級者講座】」練習のコツ

「クラスメイト」は、フィンガーピッキングスタイルの弾き語りに慣れてきた人向けの構成になっています。
それでは、イントロから順番に練習方法をお伝えしていきますね。

まずはイントロの練習方法です。イントロは、最後に練習した方が効率が良いです。なぜかというと、コードを押さえながらメロディーを弾くので、少し難易度が高いのです。
弾き語りで出てきたコードに慣れて、歌いながら弾けるようになった時にちょうど良いレベル感になります。まずは、他の部分のコードをスムーズに押さえられるようになってからイントロに挑戦してみてください。

弾き語り全般に言えることですが、イントロを自由にアレンジしていく能力はとても重要です。
バンドの構成をギター1本で表現するので、完璧にイントロを再現するというのは、難易度が高いです。原曲の雰囲気を残しつつギター1本で表現できるようなアレンジ力が求められます。

アレンジの仕方は、「コードにオブリガートを足していく」、「メロディーを忠実に再現する」、「メロディーを再現しながらラフにオブリガートを足していく」、という3種類が王道です。
今回のイントロアレンジは「メロディーを再現しながらラフにオブリガートを足していく」というものなので、この曲のコードに慣れて歌えるようになってから挑戦した方が、アレンジに気を回すことができるでしょう。

他の部分に関しては、歌をメインにしたアレンジになっていますので、右手のフィジカル的なテクニックは優しいです。歌を引き立たせるための音数の抜き方は、センスが求められますね。
音数の抜き方は、歌に寄り添うようにメロディーに合わせたり、歌の隙間にギターの音を入れていくイメージです。ベーシックなフィンガーピッキングを整えた後に、抜いていくという作業になります。

次に、歌のパートを解説していきます。
Aメロは、セーハコードが多用されているのが特徴です。Key=Fなので、どうしてもセーハコードが避けられない構成になっています。
セーハコードをスムーズに押さえられるようになると、今後の演奏に活かせるので、「クラスメイト」の練習で、セーハコードに慣れましょう!

Bメロは、特に右手の強弱の付け方を意識して弾くようにしましょう。ここはサビ前の盛り上げ役なので、緩急、強弱をつけた演奏になると良いです。
例えば、サビ手前で演奏を徐々に強くしていくと、サビ頭の音量が大きくなることによって、力強い入り方になりますね。

サビは、今まで出てきたコードに慣れていれば、かんたんにクリアできると思います。サビ終わりは、右手の強弱に気をつけて弾いてください。
最後のB♭m7からB♭M7のように、同じ主音で、メジャーコードからマイナーコードに変わると感傷的な雰囲気を作り出すことができます
さらに、最後のB♭m7を引き立たせるために、手前のB♭M7を強めに弾くと、サビ終わりがより感傷的な雰囲気になり、世界観を作り出すことができます。

間奏はコードを少なめに、かんたんなアレンジにしています。次のセクションから転調するので、間奏はシンプルにして、転調後の歌をより盛り上げます。

転調後はAメロと同じメロディーですが、Keyが上がってるので、サビと同じような盛り上がり方の印象を受けます
歌があるところを弱めに、無いところを強めにと、右手の強弱を変えて演奏してください。
歌があるところと、無いところの音の厚みを整えると、良い演奏になります。

イントロをはじめ、セーハコードがたくさん出てくるので、左手の筋トレにもなりますね
セーハコードは日常では使わないような筋肉を使うので、セーハコードをたくさん押さえるトレーニングが必要です。セーハコードは、数をこなせば少しづつ音が鳴るようになります。
僕はギターを始めた当初、セーハコードで挫折しかけましたが、ゆるゆると続けていたらいつのまにか押えられるようになっていました

セーハコードは必ず押さえられるようになるので、続けることが大事です。続けている人で、押さえられなかった人は見たことがありません。自分を信じてがんばりましょう!
少しずつ無理なく練習していくというのは、長くギターを続ける秘訣です!

弾き語りで大切なのは、コードチェンジと歌詞(メロディー)のタイミングです。「ちょっと歌い回しを変えてみよう」とアレンジが思いついた時は、コードチェンジのタイミングを変えます。逆もまた然りです。
まずは、ワンストロークでコードを押さえる練習をしていきましょう。慣れてきたら、コードチェンジのタイミングと歌詞(メロディー)のタイミングを合わせます。
メロディーとコードをしっかり結びつけるということが、良い弾き語りのコツです!

まとめ

「クラスメイト」は激情と寂しさが相まった曲なので、コードのアレンジや右手の強弱、音数を意識して弾いてください。
イントロはかなりラフにアレンジしてますので、しっかりメロディーを演奏したいという方は、動画で紹介してるオブリガートや、ラフにとっているメロディーを参考に完成させてみてください。自分で作り上げると勉強になるし、達成感もあるのでオススメです!

この曲ができたら、他の曲を弾いた時のアレンジ能力が上がっていると思います。オブリガートやコードアレンジのテクニックを手に入れて、どんどん他の曲に応用していきましょう!
今後も、定番の楽曲から、マニアックな楽曲まで、いろいろな弾き語り動画を公開する予定ですので、お楽しみに!










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