音楽理論ってなんだろう?初心者のための基本のキ

音楽理論をこれから学ぶ人にとって、「音楽理論」はつかみどころがない存在だと思います。“音楽”の理論といっても、その“音楽”が示す範囲や内容がどういったものか想像がつきにくいでしょう。

正体がよく分からない印象が強いため、音楽理論は「とっつきにくい」、「堅苦しい」、「難しい」、「退屈だ」という印象をもたれやすいです。実際に難しいということもありますが、種類やジャンルが多岐に渡り複雑であることや、明確な学習フローがないことも、音楽理論を学ぶことへのハードルを上げているように感じます

そこで今回は、初心者の人向けに、音楽理論の定義や役割、学ぶことで得られるメリットなど、基本のキを解説。深い音楽理論について触れる前に、まずはこの記事を通して、音楽理論とはいったい何かについて一緒に考えてみましょう。

音楽理論とは?

音楽理論は一般的に、音楽の構造や手法について説明したものと解釈されています。おおまかな内容は、音やコードの成り立ちや、それらを楽曲の中でいかに使用するかなど、音楽の最も基本的なトピックに関するものです。

音楽の基本トピックに加えて、特定の音楽スタイルについて取り扱う音楽理論もありますクラシック音楽系統の古典的音楽理論や、ジャズ音楽理論などが当てはまります。
クラシックやジャズは歴史が古く、それぞれに音楽のスタイルが確立しています。「クラシック(ジャズ)といえばこういう音楽だ」といった音楽的要素があり、それを基に楽曲が作られているのです。音楽的要素や楽曲構造まで説明する音楽理論の代表例が、古典的音楽理論とジャズ音楽理論なのです。

上記の他にも、一般的な音楽理論とは内容が異なるケースがよくあります音楽理論を説明する主体によって、音楽理論の捉え方が多種多様あるのです。
なぜそうなるかというと、音楽理論は学術的な定義があるわけではなく、一般的な解釈によってでしか定義づけがされていないからです。こうした結果、音楽理論の範囲や内容に解釈の幅が生まれ、さまざまな音楽理論が世に出ているのです。

何より大切なのは、音楽理論を単なる知識ではなく、音楽力を向上させる大事な要素だと捉えることです。音楽力を向上させるには、知識と技術のどちらも必要です。車の両輪のように、知識と技術の両方をバランスよく身に付けることで、前進力が高められ効率よく音楽力を向上させることができるでしょう。

音楽理論を学ぶことは、単なる「勉強」ではなく、音楽の力をつけるための「練習」や「訓練」にもなるといえますね。

音楽理論の種類について

音楽理論の定義や内容が多種多様であることは冒頭でも触れましたが、改めて音楽理論にはどういった種類があるのかを紹介していきます。

音楽理論関連の書籍や記事は、ごまんとあります。現状、筆者や理論書によって音楽理論の捉え方がまちまちであるため、音楽理論の種類が数多く存在してしまっています。あくまで参考として、大まかにどのような種類があるのか主要なものを挙げていきます。

音楽ジャンルごとの種別

メジャーなジャンルには、そのジャンル独自の音楽理論が存在することがあります。音楽の一般的なトピックに、そのジャンルの音楽スタイルまで話を広げたもののことです。代表的なものでは、クラシック系統の古典的音楽理論と、ジャズ系統のジャズ音楽理論があります。

音楽の要素・アプローチごとの種別

楽典、ソルフェージュ、楽式論、コード理論、対位法、リズム作法などがあります。音楽理論の一環としてみなされるものや、音楽理論から派生したものまでさまざまです。

このように体系化されているものだけでも数多くあり、これらをすべて学習しようとすると、時間がどれだけあっても足りません。また、学習の目的によって必要な知識が異なるので無闇に手をつけるのは良くないことです。
音楽理論を学ぶ場合、必要な知識の内容・量とレベルに合ったものを選ぶようにしましょう。

音楽理論の役割

これから音楽理論を学ぶにあたり、音楽理論の役割を押さえておくことは、今後のモチベーションを保つ意味でも重要です。必要性を感じられないものを学ぶことはどんな人でも苦痛ですよね。
ここからは、音楽理論にどういった役割があるのかを学びましょう。細かく分類してしまえば、いくつでも役割がありますが、今回はあらゆる音楽理論に共通する役割を紹介します。

01. ナビゲーション

音楽理論は、世の中の音楽の基準や方向性を教えてくれます。音楽は自由なものですが、基準や向かうべき方向が分からなければ途端に不自由に感じます。暗闇の中を灯りや目印なしに進むようなものです。

音楽理論は道を照らし、私たちが進みやすいようナビゲートする役割があるのです。

02. 音の情報の共有

目には見えない音の情報を、共通の言葉を使って共有する役割もあります。いわばコミュニケーション・ツールとしての役割といえるでしょう。
身近な例を出すと、カラオケで「キーを変える」動作をすることがあると思いますが、キーという概念は音楽理論の中にあるものです。この概念があるおかげで、キーを変えるのであれば全体の音が上下すると想像がつきます。

こうした歌や演奏の場、あるいは情報を授受する際にも共通の言葉を用いてスムーズにやりとりができるのです。

03. 音楽の歴史を紡ぐ

大きな視点の話になりますが、音楽の歴史を支える役割もあります。音楽の歴史は、常に創造と破壊の繰り返しでした。新しい音楽が誕生してそれが普及した後、また新たな音楽が誕生してきました。新しい音楽が誕生する度、音楽理論はブラッシュアップされます。

音楽理論は新しい音楽を分析して知識としてまとめる役割を担ってきましたが、同時にそれが新しい音楽を広く普及させるきっかけにもなっていました。そして、新しい音楽は次第にパターン化され、いつしかそのパターンを壊すまた新たな音楽が生まれてきたのです。

音楽理論を学ぶメリット

続いて音楽理論を学ぶメリットについて紹介します。メリットに関しても、学ぶ人やシーンによってさまざまあるでしょう。今回は、これから音楽理論について学ぶ初心者にとってのメリットを中心に挙げています。

01. 音楽に対する感度が高まる

例えば、メジャーコードは明るくて、マイナーコードは暗いという知識を学んだとしましょう。知識を得る前は何も感じなかった音の重なりも、明るく聞こえるからメジャーコード、暗い印象だからマイナーコードだと聞き分けることができるようになります。このように音楽の知識があれば意識的に音を聞き分ける機会が増えます

引き続き、メジャーコードとマイナーコードを例にしましょう。さらにこれらの知識を深めていくと、メジャーコードは明るい、マイナーコードは暗い、では明確に分類できないのではないかという仮説に辿り着きます。このように知識を得た上で音楽に触れていくことで、音楽のアンテナの感度を高めることができます

02. メソッドを活用できる

コード進行を例に挙げましょう。楽曲内で使用されるコードや、コードの順序には、音楽の基準や一定の法則がベースにあります。音楽理論を通してその基準や法則を知ることで、コードやコード進行の成り立ちを理解することができます。そうすることで数多く存在するコードが頭の中で整理され、コード進行はパターンで覚えるようになっていきます

これまでコード譜や運指表とにらめっこしながら、独立したものとしてコードを覚えていた人も、効率よくコードとコード進行を覚えられるようになっていきます。音楽理論には、このようなメソッドやツールとして使える知識がありますので、日々のスキルアップに役立ちます

03. 情報収集やコミュニケーションが楽になる

音楽理論は音楽に携わる私たちにとって、いわば共通言語です。音の情報を音楽用語なしに説明するのは難しく、音楽の一般的知識がないと、音楽について話す際は不便に感じます。そういった背景もあり、多くの理論書や音楽コンテンツでは、はじめに用語と一般的知識の解説をしているのがほとんどです。

共通言語を知らない段階で学ぶと、外国語で説明を受けているような感覚になるかもしれません。しかし、一度共通言を知ってしまえば、情報を集める際も発信する際も、一気に楽になるでしょう。

04. 新しい音楽や自分の表現したいものを生み出す土壌になる

音楽理論では、音楽の基本や型を学びます。創造的な趣向が強い人ほど、こういった基本や型を学ぶのを嫌うかもしれません。しかし、どんなに型破りな人も「型」を知らなければ破ることも抜け出すこともできません。まずはどんな型があるかを知ることが大切です。

基本を知らない状態で、感性だけを頼りに音楽を生み出したとしても、これまで築き上げられた音楽の歴史からすれば、既に存在するもの、あるいは結果的に型に収まったものの範囲を超えないような作品になり果ててしまう可能性が大きいです。
守破離という言葉があるように、まずは音楽の基本を音楽理論で学び、音楽基礎の土壌を整え、そこから新しい音楽や表現方法を育てていきましょう

KGAにおける音楽理論について

KGAでは、ギタリストの目線に立ち、ギタリストに必要かつ、実用的な音楽の知識を体系化し、それを音楽理論として扱いますKGAにおける音楽理論は、ギタリストのための音楽理論になります。

まずは音楽の基礎的な知識や言葉の解説から進め、その後、ギター演奏に役立つトピックを解説する予定です。ポップスやジャズなどのポピュラー音楽を主として扱うことが多いですが、必要に応じて他ジャンルの内容も紹介します。
初級の段階では、一般的な音楽理論よりも、ギタリストに寄り添った内容で解説していく予定です。

中級以上の内容では、DTMや楽曲分析に役立つ情報など、よりディープな音楽理論とそれに関するコンテンツも扱っていく予定です。

KGA式音楽理論 初級編

ここまでで音楽理論とはどういったものなのか、なぜ学ぶ必要があるのか、学ぶとどのようなメリットがあるのかを理解していただけたのではないでしょうか?音楽理論に対して興味を持ちはじめてもらえていたら嬉しいです。

しかし、いざ音楽理論を学ぼうとしても、どこから手をつけたら良いのかわからないですよね。音楽理論がどういったものか理解していれば、尚更、何からはじめたら良いのかわからなくなってしまうでしょう。
ここからは、具体的に学習するテーマについて紹介していきます。気をつけてほしいのは、今回紹介するテーマや順番は、KGAにおける音楽理論であるということ。ご自身が何のために音楽理論を学ぶかで、テーマや順番は変わってきます。

KGAにおける音楽理論を学ぶ際は、以下のテーマの順番で学習することをおすすめします。

STEP 01. 基本的な音楽用語
STEP 02. ギターとはどういう楽器か
STEP 03. 音程・度数とは
STEP 04. スケールとは
STEP 04-001. メジャーとマイナー
STEP 04-002. 同主調
STEP 05. キーとは
STEP 06. コードとは
STEP 07. ダイアトニックコード
STEP 08. コード機能
STEP 08-001. 主要三和音
STEP 08-002. 代理和音
STEP 09. コード進行
STEP 10. ドミナントについて
STEP 10-001. ドミナントモーション
STEP 10-002. セカンダリードミナント
STEP 11. リズム

まずは、音楽理論の中で用いられる音楽用語を知るところからはじめましょう。とはいっても、一度に、かつ短期間で覚えることは難しいでしょう。特にゼロから学ぶ場合は、それぞれのテーマに何度も立ち返って覚え直し、定着させることが重要です。
さまざまな専門用語が出てきますが、初めは用語を暗記するよりも、その内容を理解していきましょう。

用語を押さえた後は、それぞれのテーマを順番に学習していきましょう。テーマはそれぞれ独立していますが、内容が続きものになっている場合が多いので、STEP 01から順に取り組んでください。
用語を学ぶ時と同じく、一度で理解するのは難しいので、何度も立ち返って知識を定着させましょう。すべてのテーマにざっと目を通し大まかに内容を理解してから、2順目以降で理解を深めるという学習方法がおすすめです。

今回は初級編になります。初級編の解説が終わり次第、中級以上の内容も紹介していきます。音楽理論を学ぶ中で疑問や質問があれば、ぜひお気軽にコメントしてください。

まとめ

今回のテーマは、音楽理論の基本のキということで、音楽理論を学ぶ前提として理解しておくべきポイントを紹介しました。
音楽理論にはいくつかの種類があり、扱う内容が多種多様なので、興味があってもとっつきにくいと感じている人が多いでしょう。しかし、音楽理論は音楽活動を行う上で大きな役割を持ち、ツールとして活用する場面が多々あります学んで終わりではなく、知識を活用できるようになりましょう。

初めて知る用語や知識に戸惑うこともあるかもしれませんが、焦らずじっくりと、一緒に学んでいきましょう。今後は、KGA音楽理論 初級編として、STEPに沿って詳しい内容を紹介していきますので、楽しみにお待ちください!

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